【2026年おすすめ】子宮筋腫と漢方|瘀血(おけつ)を巡らせて不調を和らげる体質改善の考え方

子宮筋腫は、成人女性のおよそ20〜30%にみられるとされる、とても身近な疾患のひとつです。年齢を重ねるにつれて見つかる割合は高くなり、40代では3人に1人以上が持っているともいわれています。

多くは良性で、症状がなければ経過観察となることも少なくありませんが、過多月経や月経痛、貧血、下腹部の張りなどの不調に悩まされる方も多くいらっしゃいます。漢方は筋腫そのものを消すものではありませんが、随伴する不調や体質そのものへ寄り添い、巡りをサポートしながら毎日を少しでも快適に過ごすための一助となります。本コラムでは、子宮筋腫と漢方の関わりについて、運龍堂の視点から解説します。

子宮筋腫による不調が起こりやすい理由

西洋医学的な観点から

子宮筋腫は、子宮の筋層にできる良性の腫瘍で、女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて大きくなる「エストロゲン依存性」の性質を持つと考えられています。そのため、ホルモン分泌が盛んな20代から40代に増加し、閉経後はエストロゲンの低下とともに縮小する傾向があります。

筋腫が子宮内膜の面積を広げたり、子宮の収縮を妨げたりすることで、月経時の出血量が増える「過多月経」が起こりやすくなります。1回の月経で140ミリリットルを超える出血や、レバー状のかたまりが続く場合は注意が必要で、慢性的な出血は鉄欠乏性貧血の原因になります。また、筋腫が大きくなると周囲の臓器を圧迫し、頻尿や便秘、腰の重だるさといった圧迫症状(あっぱくしょうじょう)を引き起こすこともあります。

東洋医学(漢方)の観点から

東洋医学では、子宮筋腫に伴う不調を「瘀血(おけつ)」、つまり血(けつ)の巡りが滞った状態と深く関連づけて考えます。血の流れが滞ると、月経痛やレバー状のかたまり、肌のくすみ、肩こりなどがあらわれやすくなります。古典では、下腹部にしこりのように触れる病態を「癥瘕(ちょうか)」と呼び、瘀血が長くとどまって形を成したものと捉えてきました。

瘀血の背景には、ストレスなどで気(き)の巡りが滞る「気滞(きたい)」、水分代謝が乱れて余分な水分や老廃物がたまる「痰湿(たんしつ)」、血そのものが不足して巡らせる力が弱まる「血虚(けっきょ)」など、さまざまな「証(しょう)」が複雑に関わります。漢方では、こうした一人ひとりの体質のかたよりを見極め、巡りを整えることを目指します。


主な症状

子宮筋腫でみられやすい不調には、月経時の出血量が増える過多月経、レバー状のかたまりを伴う強い月経痛、出血が続くことで起こる貧血(めまい・動悸・倦怠感)などがあります。また、筋腫が大きくなると下腹部の張りやぽっこり感、膀胱が圧迫されることによる頻尿、直腸が押されることによる便秘や腰のだるさといった圧迫症状もあらわれます。症状の有無や程度は筋腫の大きさ・位置・数によって個人差が大きく、まったく症状がない場合もあります。

服用可能な漢方薬・薬膳素材

ここでは、瘀血を巡らせ、体質を整えることを目指して用いられる代表的な漢方処方をご紹介します。いずれも筋腫を直接消すものではなく、随伴する不調や体質へのアプローチとして位置づけられます。体質との相性が大切ですので、服用の際は必ず医師・薬剤師にご相談ください。


① 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

桂皮(けいひ)・茯苓(ぶくりょう)・牡丹皮(ぼたんぴ)・桃仁(とうにん)・芍薬(しゃくやく)から成る、瘀血対策の代表的な処方です。滞った血の巡りをうながし(駆瘀血)、のぼせや肩こり、月経痛、下腹部の張りなどをやわらげる方向に体を整えます。比較的体力があり、のぼせやすく足は冷えるといったタイプの方に向くとされ、子宮筋腫の養生でしばしば候補にあがる一処方です。


② 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

当帰(とうき)・芍薬・川芎(せんきゅう)・茯苓・白朮(びゃくじゅつ)・沢瀉(たくしゃ)から成り、血を補いながら(補血)、余分な水分の巡りも整える処方です。冷え症で疲れやすく、貧血ぎみで顔色が悪い、むくみやすいといった、体力がやや低下した「血虚」「痰湿」傾向の方に向きます。過多月経による貧血や冷えが気になる方の体質づくりを穏やかにサポートします。

③芎帰調血飲(きゅうきちょうけついん)

川芎・当帰・地黄(じおう)・白朮・茯苓・陳皮(ちんぴ)・香附子(こうぶし)など多くの生薬から構成され、血を補い巡らせながら、気の巡りや胃腸の働きも同時に整える処方です。とくに産後や月経後の体力低下、血の不足と滞りが入りまじったような状態に用いられます。疲れやすく、めぐりも気力も底上げしたいというタイプの体質づくりに向きます。

④ 桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)

桂枝茯苓丸に薏苡仁(よくいにん/ハトムギの種子)を加えた処方です。瘀血を巡らせる桂枝茯苓丸の働きに加え、薏苡仁が余分な水分や老廃物の排出を助けるとされ、肌あれやニキビ、むくみを伴うようなケースで用いられます。瘀血と痰湿の両方が気になる方の体質を、より総合的に整える方向に働きます。


薬膳素材

日々の食事でも、瘀血対策や血を補う観点から取り入れやすい食品扱いの素材があります。黒きくらげは鉄分が豊富で、東洋医学では血を補い巡りを助ける食材とされ、炒め物やスープに加えやすい素材です。なつめ(大棗/たいそう)は気血を補うとされ、そのまま食べたりお茶やスープに入れたりして手軽に楽しめます。サフランはごく少量で血の巡りを助けるとされ、リゾットやスープの彩りに使えますが、量は控えめにします。

玉ねぎは血液をサラサラに保つ働きが知られ、加熱・生どちらでも日常的に取り入れやすい野菜です。青魚(あおざかな/いわし・さば等)はEPA・DHAを含み、巡りを意識した食卓におすすめです。黒豆(くろまめ)は血を補い、煮豆やお茶として手軽に活用できます。ハトムギ(薏苡仁/よくいにん)は余分な水分の排出を助けるとされ、ハトムギ茶やお粥で日々の養生に役立ちます。

注意が必要な漢方薬

瘀血を巡らせる漢方薬には、血の巡りを強く動かす「活血(かっけつ)」「駆瘀血(くおけつ)」の生薬が含まれます。妊娠している、あるいは妊娠の可能性がある場合には、子宮を刺激したり流早産のリスクにつながったりするおそれから、慎重投与または禁忌とされる生薬があります。代表的なものに、大黄(だいおう)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桃仁(とうにん)、紅花(こうか)、麝香(じゃこう)、芒硝(ぼうしょう)などがあり、桂枝茯苓丸など瘀血対策の処方にもこれらが含まれることがあります。

また、過多月経で出血量が多い時期に活血薬を用いると、出血を助長してしまう可能性も指摘されており、使用のタイミングには注意が必要です。自己判断での服用は避け、現在の体調や妊娠の可能性、ほかのお薬との飲み合わせも含め、必ず医師・薬剤師にご相談ください。

おすすめの食品

子宮筋腫に伴う過多月経や貧血の養生では、栄養面からのサポートが大切です。栄養素別にみると、まず不足しがちな鉄を補うために、赤身の魚やあさり、ほうれん草、小松菜、ひじきなどを意識して取り入れたいところです。鉄の吸収を高めるビタミンC(ブロッコリー・パプリカ・柑橘類・いちごなど)を組み合わせると効率的です。

腸内環境を整え、余分なものの排出を助ける食物繊維(海藻・きのこ・根菜・豆類)もおすすめです。さらに、女性ホルモンに似た働きをもつとされる大豆イソフラボンを含む大豆製品(豆腐・納豆・豆乳など)は、ホルモンバランスを意識した食卓に役立ちます。

東洋医学的には、血を補う「補血(ほけつ)」の食材として、なつめ・黒豆・黒きくらげ・レバー・赤身肉(適量)・人参(にんじん)などが、血の巡りを助ける「活血」の食材として、玉ねぎ・らっきょう・青魚・酢・少量のシナモンなどが知られています。これらをバランスよく取り入れることが、体質づくりの土台となります。


避けた方が良い食品・飲み物

一方で、控えめにしたい食品・飲み物もあります。動物性脂肪や赤身肉のとりすぎは、ホルモンバランスや血の巡りへの影響が懸念されるため、量に気をつけたいところです。アルコールの飲みすぎは血の巡りや肝臓の働きに負担をかけやすく、ほどほどを心がけましょう。

また、冷たい飲み物やアイス、生野菜の食べすぎ、夏でも冷房で冷えた体に冷たいものを重ねることは、体を冷やして血の巡りを滞らせ、瘀血を助長すると東洋医学では考えます。

白砂糖の多い甘いものや脂っこい揚げ物のとりすぎも、痰湿をためやすいとされるため控えめに。温かい飲み物や火を通した料理を中心に、体を内側から冷やさない食習慣を意識することが、巡りを整える養生につながります。


日常生活での対策

日々の暮らしの中でも、巡りを整える工夫はたくさんあります。まずは「温活」を意識し、湯船にゆっくりつかる、腹巻きや靴下で下半身を冷やさない、温かい飲み物をとるなどして体を温めましょう。ウォーキングやストレッチ、ヨガといった適度な運動は、血の巡りを促し、瘀血対策の基本となります。

睡眠は血を養う大切な時間ですので、夜更かしを避け、質の良い休息を心がけてください。ストレスは気の巡りを乱し、瘀血の一因にもなりますので、深呼吸やリラックスできる時間を意識的に持つことも大切です。

セルフケアとして、内くるぶしの上にある三陰交(さんいんこう)や、膝の内側上方にある血海(けっかい)などのツボを、心地よい強さでやさしく押したり温めたりするのもおすすめです。無理のない範囲で、できることから続けてみてください。

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まとめ

子宮筋腫は成人女性に広くみられる身近な疾患で、過多月経や月経痛、貧血、圧迫症状などさまざまな不調を伴うことがあります。漢方は筋腫そのものを消すものではありませんが、瘀血をはじめとする体質のかたよりに寄り添い、巡りをサポートしながら随伴する不調を和らげ、毎日を快適に過ごすための一助となります。桂枝茯苓丸や当帰芍薬散などの処方、薬膳素材や日々の食養生、温活やツボのセルフケアを組み合わせ、無理なく続けることが体質づくりの近道です。

ただし、子宮筋腫は大きさや種類によっては治療が必要な場合もありますので、定期的な婦人科の受診を欠かさず、西洋医学的な経過観察と漢方による体質ケアを上手に併用することが大切です。ご自身の体質に合った漢方選びや養生について、どうぞお気軽に運龍堂へご相談ください。遠方の方や来店が難しい方のために、オンライン診療にも対応しておりますので、安心してご利用いただけます。